SIer勤めの現役エンジニアが思う今後のSIer業界

日々のこと

SIerに勤める現役エンジニアでもある僕が、自分の頭の整理も兼ねてSIer業界がどのような方向に進んでいくのかまとめます。

SIer業界については、不要論が唱えられたり、はたまたIT分野の成長に伴ってさらに大きくなるとも言われています。
このようにいろいろな観点からの議論がありますが、この記事では実際にSIer企業の中から業界の変化を感じている中の人目線で書いていきます。

まず結論

SIer業界は縮小していくだろうと予想しています。

理由は3つ。

  1. クラウドサービスの普及
  2. 海外テック企業の提供するサービスの普及
  3. ユーザ企業におけるDX

順に解説していきます。

SIerは日本の独自文化

解説の前提としてSIer業界というのは日本独自の業界です。

シリコンバレーのIT企業でエンジニアをされている酒井潤さんも「アメリカにはSIerの文化はなく、SIerを指す言葉すらない」と言及されています。
海外ではどうしているのかというと、自社で雇用しているエンジニアがシステム開発やインフラ構築をしています。
わざわざ外注する必要もないため、SIerも必要ないんですね。

理由3つを解説

前提を知っていただいたところで、順にSIer業界が縮小していくだろうと予想する理由を解説していきます。

クラウドサービスの普及

今やクラウドサービスの普及により、web画面上でインフラ構築〜サービスのリリースまで完結するようになりました。

これまでSIerが担っていたこれらの作業が、ある程度の知識さえあれば数クリックでできてしまうようになったのです。

加えて、クラウドに構築したインフラは、利用者からみると老朽化することがありません。

つまり、SIerが稼ぐ機会になっていたシステムの更改が必要なくなります。
まだ自社でシステムを展開できる企業は少ないですが、さらにクラウドサービスが普及し、知識が一般化すれば、いずれはSIerを頼る必要はなくなると思います。

海外企業の提供するサービスの普及

GAFAに代表されるように、現在のITトレンドやイノベーションを牽引しているのは、海外企業ばかりです。

つまり日本企業が使うサービスも海外企業が提供するものに変わっていっています。実際に僕が日頃関わっているサービスも9割が海外企業が作ったものになっています。
これが何を意味するかというと、SIerがいない文化で作られた海外企業のサービスを使う上ではSIerはいらないのです。

簡潔に言うと、SIerがいなくてもユーザ企業自身が導入、カスタマイズして運用までできる状況になりつつあるのです。

ユーザ企業におけるDX

最後に、これ理由がもっともSIer業界の縮小に拍車をかけると思っています。

さまざま企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が叫ばれています。
「DX=企業が自らのデータを事業展開に活用するということ」なので、DXを進めるためには企業内でデータをストックし、活用することが必要です。
データを活用するために、自社でIT技術を扱うことができる人材を確保します。
その結果、自社でITシステムを賄うことができるようになり、SIerはいらなくなるという構図です。

それでもSIerは生き残るのか

ここまで、SIer業界は縮小していくという持論を展開してきましたが、全てのSIer企業がなくなるわけではないかと思います。
なぜなら、上記の理由3つが当てはまらない業界もあるからです。
例えば、金融業界や公共業界などの技術の流動性の少ない業界であれば、SIerの必要性は保たれるかと思います。
しかし、やはりSIer業界全体としては、グローバル化の動きが激しい現代で、日本だけでガラパゴス化したSIerが生き残るのは難しいでしょう。

かつての国産ケータイがiPhoneに淘汰されたように、今度はSIerが海外テック企業に淘汰されるのも遠くはないかもしれません。

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